人生はネタ集め

なるべく目立たぬように地味に生きてます。

【国土交通白書2015】第1部抜粋版の文字起こし。

とりあえず第1部の文字起こし完了しました。

世間ではUターンラッシュが始まってるようですが、家に籠ってひたすらコピペしてます。嫁と子供にはどこにも連れて行かないと大ブーイングですが、ボクにはそれどころではありません。この貴重な大型連休を生かさないといけません。

といったわけで、前回のブログで告知した、国土交通白書2015の文字起こしを一所懸命やってました。とりあえず第1部の方ができたので、下に張り付けておきます。もし御用の方は、勝手にコピペしてお使い下さい。

内容については、H25~28年の過去問から、同じようなキーワードの部分、それと個人的にこれ読んどいたほうがいいかなぁと感じた部分を抜粋しています。一部、漢字がカタカナになっていたり、変なところで『。』や『、』などの句読点が入っていますが、これはVoicepaperというiPhoneアプリの対策のためにやっているので、決して間違いなどではございません。

 ↓このアプリが一番使い易いですが、無料版だと時間制限がかかってしまうので有料版での使用がおススメです。

それと、あくまでも自己責任で使用して下さい。クレーム等は一切受け付けませんのでその点をご了解の上、ご自由にコピペしてお使い下さい。 

第2部はただいま鋭意コピペ中です。今少々お待ち下さい。

ココから下をコピペして下さい。

第1部第1章。我が国の経済成長を支える国土交通行政の展開、生産性革命をもたらす戦略的なインフラマネジメントについて。

人口及び生産年齢人口の推移。
少子高齢化の進行により、我が国の総人口は2008年をピークに減少に転じており、生産年齢人口も1995年をピークに減少に転じている。
2015年の国勢調査における人口速報集計では、我が国の総人口は1億2,711万人であり、5年に1回の国勢調査ベースでは、調査開始以来、初めての減少となった。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位(死亡中位)推計)によると、総人口は2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人(2010年人口の32.3%減)にまで減少すると見込まれており、生産年齢人口は2030年には6,773万人、2060年には4,418万人(同45.9%減)にまで減少すると見込まれている。
 

 

深刻な高齢化。
高齢化率は、2015年に26.7%と過去最高となっている。
2025年には、我が国全体で高齢化率が3割を超え、2050年には4割ジャクにまで達するなど、世界で類を見ない、超高齢社会を迎えると推計されている。
 
地域によって異なる人口動向。
2010年から2050年の間に、居住地域の約6割以上、で人口が半分以下に減少し、約2割は人が住まなくなると予測される。
市区町村の人口規模別では、人口規模が小さい自治体ほど人口減少率が高くなり、2010年から2050年で見た場合、人口1万人未満のシクチョウソンでは、約半分に減少すると見込まれている。人口が増加するのは、東京圏、名古屋圏等、わずかな地域であり、過疎化が全国で一層、深刻化すると予想されている。過疎地域においては既に、若年者のみならず高齢者の人口も減少する局面へと入りつつある。
 
人口減少社会と生産性の向上による我が国の経済成長。
人口減少下でも、生産性向上シナリオと生産性停滞シナリオを比較すると、実質GDP成長率で、1%キョウ、の差が生じる。生産性コウジョウが労働力減少分のマイナスを補うことができれば、今後の人口減少カにおいても、経済成長を達成することが可能であると考えられる。
 
我が国の財政状況。
債務残高について見ると、社会保障関係費、国債費、地方交付税交付金等、の増大に伴い、財政状況が一層深刻化している。2015年度末では、国の長期債務残高は、874兆円に達していて、諸外国と比較すると、我が国は最も厳しい状況となっている。
 
国際的な分業体制の構築。
製造業の海外生産比率は増加基調にあり、2012年度以降は2割、を超えている。
 
国際競争力を支えるインフラ。
世界経済において国際競争が激化する中で、日本の国際競争力を強化するためには、産業・都市基盤の整備による立地、就労・居住環境の改善や、交通ネットワークの強化による移動・物流サービスの強化が必要である。
 
公共投資。
公共投資は、1995年の44.4兆円をピークに、減少基調にあったが、東日本大震災に係る支出もあり、2013年半ば以降、増加している。
 
貿易収支。
諸外国との貿易に関しては、1981年から2010年までは、輸出が輸入を上回る貿易黒字の状態が続いていたが、2011年からは、貿易赤字の状態となり、2014年には輸出が約73兆円、輸入が約86兆円となっている。
貿易相手別に見ると、これまで長期にわたり、米国が我が国の第1の貿易相手となっていたが、2003年以降は、中国が米国を抜いて我が国の第1の貿易相手国となっている。
 
インフラシステムの海外展開。
輸出に関しては、インフラシステム海外展開には、新興国等の膨大なインフラ需要を我が国に取り込むことで、我が国経済の成長につながる効果が期待される。
OECDの報告によると、2030年における、世界のインフラ需要は、年間2兆3,260億ドルに上るとされており、膨大な需要が見込まれている。
国内のインフラ市場に加えて、こうした海外市場を我が国企業が獲得することは、新たな受注による、我が国企業の収益拡大に資するのみならず、事業拡大のスケールメリットを活かした価格競争力や、生産性の強化、グローバルスタンダードの獲得、による国内事業への還元等の効果が期待され、ひいては我が国経済の活性化につながるものである。
 
訪日外国人観光客の増大。
円安傾向による訪日旅行の割安感や、ビザ発給要件の緩和等を背景に、日本を訪れる外国人観光客が急増している。
観光庁によると、2015年の訪日外国人旅行数は、過去最多の約1,974万人だった。
また、同年の訪日外国人旅行消費額も、前年比71%増え、過去最高の3兆4,771億円に上った。
訪日外国人の我が国における消費額は、GDP統計上個人消費ではなく、輸出にカウントされる。
 
産業構造の変化。
人口減少・少子高齢化により人口構造が変化する中で、我が国が経済成長していくためには、技術革新を含む生産性向上が重要な役割を担う。
内閣府の「平成27年度、年次経済財政報告、第3章第1節」によると、長期的な経済停滞の背景には、生産性の伸び悩みがあげられ、先進国と比較して伸び悩む、我が国のサービス産業の生産性が述べられている。
 
全国総合開発計画。
全国総合開発計画は、直面する地域課題と、新たな時代への対応を図りつつ、望ましい国土を築くための、中長期的な国土計画を提示するものである。
1962年の最初の策定(全総)以来、7年~10年ごとに見直され、1969年には、新全国総合開発計画(新全総)、1977年には、第三次全国総合開発計画(三全総)、1987年には、第四次全国総合開発計画(四全総)、1998年には、「21世紀の国土のグランドデザイン」が計画され、中長期的な計画により、時代に即したインフラ整備が行われた。
それぞれのテーマを次にまとめる。
全総は、拠点開発方式。
新全総は、大規模開発、プロジェクト構想。
三全総は、定住構想。
四全総は、多極分散型国土の構築及び、交流ネットワーク構想。
五全総は、多軸型コクド構造形成の基礎作り。
古い順に、拠点、大規模プロジェクト、定住、多極型交流ネットワーク、多軸型と覚えた方がよい。
 
地下鉄整備。
1927年に東洋初の地下鉄路線となる銀座線の基盤として、浅草、上野カン(約2.2km)が開通していた。
1954年には、池袋、御茶ノ水カン(6.4km)で「丸ノ内線」が開通し、1961年から一部開業していた「日比谷線」は、1964年のオリンピック開催に間に合わせるため、1964年8月に中目黒、北千住カン(20.3km)を全線開業した。
 
インフラ整備による経済成長の下支え。
我が国は戦後、現在の我々の生活の基盤となる、社会インフラの大規模整備を実施し、人々の生活のみならず経済を支えた。
インフラが経済にもたらす効果のわかりやすい例として、交通ネットワークの整備により移動時間が短縮される効果が挙げられる。
道路を用いて国土交通省、本省(東京)から、各県庁へ貨物を輸送した場合、の所要時間を、1971年と2014年で比較すると、約40年間に最大500分キョウ、短縮されている。
 
インフラ投資水準の国際比較。
我が国の毎年の公共投資水準を、一般政府総固定資本形成、対GDP比の推移で見ると、1990年代後半、我が国は他国と比較して、高い数値にあったが、2000年代に入ってから、他の主要先進コク並みの水準になりつつある。
 
コストのかさむ脆弱な国土と厳しい自然条件。
Ig/GDP比、で見た場合、我が国の公共投資額は、主要なOECD加盟国と比較して、同水準ではあるが、国土構造やインフラ整備段階の違う国同士の比較で一概に水準の高低を判断することは難しい。
日本の河川は、急勾配で距離が短いため、大雨の際には一気に流量が増える。
平常ジの流量と、洪水ジの流量を比較すると、テムズ川で8倍、ドナウ川で4倍、ミシシッピ川で3倍となっているが、利根川では100倍、木曽川では60倍、淀川では30倍と、日本の河川は総じて、平常ジと洪水時で、河川の状況は大きく変貌する。
さらに、日本では、人々が住んでいる土地の多くが、洪水ジの河川水位より、低い土地となっているため、洪水時には人々の暮らしに、甚大な被害をもたらす傾向がある。
地震に関しては、世界で発生するマグニチュード6以上、の地震の約2割が、我が国周辺で発生している。
また、洪水と地震の他にも、我が国は、台風、豪雨、豪雪、土砂災害、津波、火山災害などによる災害が発生しやすく、全世界のうち0.27%の国土面積にもかかわらず、災害被害額は世界全体の約2割、を占めている。
地形に注目すると、山地や河川が多い急峻な地形に対応するため、諸外国に比べて橋梁やトンネルといった構造物の比率が高くなっている。
このように、我が国は厳しい自然条件及び国土条件から、その特殊性を考慮した工法、を採る必要があり、諸外国に、比べインフラ整備にコストが多くかかる傾向にあるため、他国と公共投資額を比較する際には、注意が必要と言える。
 
主要国のインフラ整備比較。
諸外国に比べ厳しい我が国の自然及び国土条件を踏まえると、一概に比較することは難しいものの、治水分野では、堤防等整備率が約69%と諸外国の水準より低い。
近年の豪雨等による、洪水被害が発生していること等から、強靱な防災インフラ等を含めたインフラ整備が今後も必要と考えられる。
 
インフラ老朽化の状況。
我が国では、1964年の東京オリンピック大会以降、に整備された首都高速1号線等、高度経済成長期以降に整備したインフラが今後一斉に老朽化し、今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合が、加速度的に高くなる見込みである。
第1節でも述べたように、我が国は今後、人口減少や、少子高齢化に伴い財政状況がより一層、厳しくなる事が予測されているが、2013年度には、更新費約3.6兆円、20年後には、約4.6~5.5兆円となり、現状の約、3割~5割高くなると推計されている。
国土交通省では、2013 年を「メンテナンス元年」として、老朽化対策を進展させてきた。
同年11月には、政府のインフラ長寿命化基本計画が策定され、2014年5月に策定された国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)を皮切りに、関係省庁において、行動計画の策定が進められている。また、地方公共団体等においても、2016年度までの行動計画の策定が進められている。
これらの計画の実行により、既存の社会資本の安全確保と、メンテナンスに係るトータルコストの縮減、平準化を両立できるよう、戦略的なメンテナンスを徹底する必要がある。
 
インフラと生産性の関係。生産性革命に向けて。
国土交通省は、2016年を「生産性革命元年」と位置づけ、総力を挙げて生産性革命に取り組むこととしている。
インフラ整備の効果には、フロー効果とストック効果があり、フロー効果は、公共投資の事業自体により、生産、雇用、消費等の経済活動が派生的に創出され、短期的に経済全体を拡大させる効果、とされている一方、ストック効果は、インフラが社会資本として蓄積され、機能することで、継続的に中長期的にわたり得られる効果であり、生産性向上をはじめとする、様々な効果がある。
これまで一般に、公共投資の効果を論ずる場合、フローとしての短期的な効果が注目される傾向もあったが、インフラのストックとしての本来的な効果として、次の点が挙げられる。
 
生産性が経済成長のカギ。
経済成長を生み出す要因としては①、労働力、②、資本、③、全要素生産性(TFP)の3つがある。我が国における、過去の経済成長を、成長会計によって分析すると、労働力以上に資本やTFP の寄与が大きかったことが分かる。
今後の人口減少カにおいても、経済成長を達成することが、可能であることを示唆している。
このことから、今後の経済成長を支えていくためには、安全・安心の確保を前提に、生産性を意識していくことが重要となっている。
 
生産性革命プロジェクト。
国土交通省では、生産性革命に資する、国土交通省の施策を、強力かつ総合的に推進するため、省内に「国土交通省、生産性革命本部」を設置して、取組みを進めている。
生産性向上に一定の効果が期待され、熟度が高まったものを公表しており、2016年4月の段階では、13のプロジェクトが公表されている。
「社会のベース」 として、①、渋滞をなくすピンポイント対策と、②、賢い料金、③、クルーズ新時代の港湾、④、コンパクト・プラス・ネットワーク、⑤、土地・不動産の最適活用、
次に、「産業別」として、 ①、建設産業、アイコンストラクション、②、住生活産業、③、造船業、アイシッピング、④、物流産業、⑤、トラック輸送、⑥、観光産業。
最後に、「未来型」として、 ①、科学的な道路交通安全対策、②、成長循環型の「質の高いインフラ」海外展開、の13のプロジェクトを公表している。
 
第1部、第2章。生産性革命をもたらす、戦略的なインフラマネジメントについて。
ストック効果の発現事例。
社会資本整備重点計画、(2015年9月閣議決定)では、インフラをその主たる目的や機能により、「成長インフラ」、「安全安心インフラ」、「生活インフラ」の3つに分類している。
 
成長インフラとして、
1、北関東自動車道、
2、北海道新幹線、
3、東九州自動車道・中津コウ・細島コウ、
4、仙台塩釜コウ・おおひらインターチェンジ、
5、日本海沿岸東北自動車道・京浜コウ、
6、徳山クダマツコウ、
7、東名高速道路 海老名ジャンクション、
と、7つの事例が挙げられている。
 
安全安心インフラとして、
1、首都圏外角放水ロ。
2、フジサン砂防事業。
の2例が挙げられている。
 
生活インフラとして、
1、品川シーズンテラス。
2、京都丹後鉄道、の2つの事例が挙げられている、
 
ストック効果の見える化、
ストック効果が企業の生産活動や、地域経済にも貢献している例を見てきたが、その効果を最大化するためには、民間側にその効果に着目してもらい、最大限有効活用してもらうこと、が重要である。
ここでは、インフラのもたらす多様なストック効果を、民間事業者や国民などインフラ利用者に分かりやすく示すため、ビッグデータや利用者等へのアンケート調査、等を活用することで、客観的に把握し、公表している事例として以下の二例がある。
 
1、京都縦貫自動車道。
2、中国横断自動車道(尾道松江線)。
 
ストック効果最大化に向けた国土交通行政の取組み。
社会資本のストック効果の最大化、を図ることを基本理念とする、第4次社会資本整備、重点計画が、2015年9月18日、に閣議決定された。
国土交通省では、この計画を踏まえ、厳しい財政制約のもと、「賢く投資、賢く使う」インフラマネジメント戦略へ転換し、ストック効果の高い事業、への選択と集中の徹底と、既存施設を知恵と工夫により、最大限活用する取組み、を進めることとしている。
また、計画のフォローアップの一環として、社会資本整備審議会・交通政策審議会、交通体系分科会、計画部会のもとに、専門小委員会を設置し、ストック効果を最大化する取組み、及び、ストック効果を見える化、する取組みの検討をおこなうこと、としており、2016年秋頃に、報告をとりまとめる予定である。
また、国土交通省では、インフラのストック効果を高める工夫、に取り組んでいるところ、その一環として、国土交通大臣と経団連との懇談会を実施するなど、官民対話の強化、に取り組んでいる。
加えて、様々な分野でのストック効果を高める取組み、を普及するために、インフラのストック効果を都道府県ごとにまとめた事例集や、「賢く使う」取組み、及び、集約、再編の全国の先進事例集を作成し、公表するとともに、これらを紹介するパネル展を本省、及び、地方整備局で実施している。
この他、関東地方整備局では、これまで実施した、事後評価の記録や資料等を整理・保存(アーカイブ化)し、将来の事業展開等のために情報を共有するとともに、プロジェクトが完成するまでの取組みを一般の方向けに、分かりやすく解説・紹介することを目的として、「関東インフラプロジェクト・アーカイブス」を作成している。
また、地域の活性化とともに、インフラを身近に感じてもうらうため、インフラツーリズムの推進を行っている。
インフラツーリズムでは、橋やダム等のインフラを観光資源として活用し、利用者や観光客にインフラを楽しんでもらいながら、そのストック効果をわかりやすく解説することで、理解を深めてもらうことができる。
このように、分かりやすい形でユーザーに情報提供・共有(「見せる化」)することで、インフラユーザーがよりストック効果を実感しやすくなると考えられる。
 
国内のPPP。PFI市場について。
PPP。PFIの活用状況。
PPP(パブリック、プライベート、パートナーシップ)とは、公共サービスの提供において、何らかの形で民間が参画する手法を幅広くとらえた概念、であり、民間の関与の仕方によって、多様な分類がある。代表的なものとしてPFI(プライベート、ファイナンス、イニシアチブ)や、包括的民間委託等、がある。
モニターアンケートにて、地方公共団体によるインフラの管理が、人材の不足や財政的な理由から、難しくなっていることについて国民の認識を尋ねたところ、77.3%の人が聞いたことがある、と回答した。
また、インフラ整備に民間資金を利用することについて、重要、やや重要と考える人が、79.5%を占めており、国民の間でも、官民連携の必要性が認識されている。
 
代表的な官民連携の手法、であるPFIでは、事業に関わる資金調達を、民間が行う。
1999年7月に「民間資金等の活用による、公共施設等の整備等の促進、に関する法律(PFI法)」が制定されて以降、PFIの事業数、事業費は年々増加しており、2014年度の事業数は489 件、事業金額は4兆5,015億円にのぼる。
国土交通省関連の事業実績は、2016年1月1日時点で累計151件あり、事業主体別では地方公共団体の事業件数の伸びが大きい。
これまで、我が国のPFIを利用した国土交通省関連事業は、庁舎や公営住宅等が中心であり、道路や、ゲ水道事業等への活用事例はまだ少ない。
また、投資回収別の事業形態では、民間が整備した公共施設等の費用や、維持管理・運営費用等を、公的主体が対価(サービス購入料)として支払う形態である「サービス購入型」が、114件と、全体の75%を占める。
PFIの事業類型には、前述のサービス購入型のほか、施設の利用料収入のみで資金を回収する、独立採算型、サービス購入料と、施設利用料の両方から、資金を回収する混合型がある。
独立採算型では、運営リスクを民間が負担する一方で、民間による利用料金の設定や、サービス内容の決定がおこなわれることがあり、一般的にサービス購入型に比べ、創意工夫の余地が大きい。
 
PPP。PFI導入の取組み。
インフラや、その提供するサービスに対する、ニーズの多様化を受け、各事業の目的や、地域の実情に合ったPPPの手法、を取り入れていくことが重要となっている。
以降では、効果的なPFI手法の代表例である、コンセッション方式(公共施設等運営権制度)と、包括的民間委託等による、地方におけるPPP導入の取組みについて紹介していく。
 
(コンセッション方式(公共施設等運営権制度))
コンセッション方式は、2011年のPFI法の改正により導入された方式で、利用料金の徴収をおこなう公共施設について、施設の所有権を公的主体が有したまま、民間が施設の運営を行う。
施設利用者からの料金収入にて資金回収、を行う独立採算型の事業で、公的主体が所有権を有することで、一定の公共性を保ちながら、民間による、安定的で自由度の高い運営を可能とし、利用者ニーズを反映した、質の高いサービスを提供することができる。
主に、空港、ゲ水道、有料道路、にて導入が進められている。
 
仙台空港。
国が管理する仙台空港は、2006年度をピークに乗降客数、貨物取扱量ともに伸び悩んでいたが、2011年3月の東日本大震災の復興のシンボルとして、仙台空港にかける期待は高まっていた。
そのため、空港の運営に民間のノウハウを取り入れながら、空港と周辺施設を一体的に運営し、東北地方の持つポテンシャル、を最大限発揮することや、地域と空港が一体となった運営を行うことで、東北地方の活性化を目指していた。
本事業は、2012年頃より、宮城県の呼びかけで官民一体となった検討が開始され、2013年3月には、官民共通の指針となる「仙台空港、及び、空港周辺地域の将来像」が策定され、仙台空港の民間運営委託の実現から、おおむね30年後の目標として、乗降客数600万人/年、貨物取扱量5万トン/年、が掲げられた。
また、2013年6月に「民間の能力を活用した、国管理空港等の運営等に関する法律」が策定されたことで、空港におけるコンセッション方式導入の枠組みが明確となり、本格的に検討が進められた。こうした官民協働による明確な空港の運営ビジョンの形成と、法律の整備が進み、2014年6月、にコンセッション方式による公募が開始された。
2015年12月1日に、東急・前田。豊通グループが設立した仙台国際空港に、当初30年、最長65年の運営権が設定された。同社の事業提案では、国際線の拡充、エアラインの就航意欲を喚起する料金体系の導入、により就航路線を拡大することや、東北ブランドの積極的な発信により、航空需要を拡大すること、等が計画されている。
また、仙台空港を起点とした、交通ネットワークの整備により、東北各地へのアクセス向上と、経済効果の波及を目指している。
本件は、空港におけるコンセッション方式導入の第1号案件であり、今後も官民、及び、地域が一体となった空港運営により、東北地方の活性化が期待される。
 
関西国際空港、大阪国際空港
関西国際空港(関空)及び大阪国際空港(伊丹)については、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律」(平成23 年法律第54 号)に基づき、コンセッションにより民間事業者のノウハウを最大限活用することを通じ、関空の整備に要した費用に係る債務の早期かつ確実な返済を図りつつ、関空の国際拠点空港としての再生・強化及び関空・伊丹両空港の、適切かつ、有効な活用を通じた、関西全体の航空輸送需要の拡大、を図ることを目指していた。
まず、2012年4月に、新関西国際空港(株)(シンカンクウ会社)が設立(国出資100%)され、同年7月に関空・伊丹両空港の経営統合が行われた。
シンカンクウ会社は、コンセッションの実現に向けて、「経営戦略」及び、そのアクションプランである「中期経営計画」を策定し、両空港の更なる事業価値の向上に取り組むとともに、2014年7月、「関西国際空港、及び、大阪国際空港、特定空港運営事業等実施方針」を策定・公表するなど、民間事業者の公募に係る手続きを開始した。
2015年11月にオリックス(株)及び、フランスの空港運営会社である、ヴァンシ・エアポート、を主要構成員とするコンソーシアムが優先交渉権者として選定され、同年12月、同コンソーシアムが設立した関西エアポート(株)に運営権が設定され、シンカンクウ会社との間で実施契約が締結された。
コンセッションの期間は、2016年4月から2060年3月までの44年間であり、運営権対価等は、関西エアポート(株)が着陸料・商業売上等の空港運営収入から毎年度支払う。
また、関西エアポート(株)は、空港運営に支障をきたさないよう、実施契約及び新関空会社が示した要求水準等に従い事業を実施することとなる一方、シンカンクウ会社は、適切な空港運営が確保されているかモニタリングを行うこととなる。
関西エアポート(株)が示した事業実施方針によると、マーケティング機能の強化、戦略的料金設定による、更なる路線誘致やLCC事業等を促進することで、航空系事業を強化するとともに、非航空系事業では、商業施設のレイアウト変更等による収益増加を目指すなど、自社のノウハウを活かした収益拡大策を示している。
空港の運営には、本来の目的である旅客や貨物の輸送に加え、商業施設や宿泊施設の運営等、多様な能力が必要とされる。
本件は、空港運営の経験を有する海外企業と、オリックス(株)をはじめ、地域を代表する国内企業とが連携して取り組む事業であり、民間事業者の柔軟な創意工夫による、空港ビジネスの展開を可能とするものである。
それにより、両空港がこれまで以上に発展することで、関西の航空需要の拡大に貢献し、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化、及び、関西経済の活性化に寄与することが期待される。
 
浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)。
2005年のシチョウソン合併で、静岡県が管理する西遠流域ゲ水道事業が浜松市へ移管されることが決定し、2016年4月に移管とされたが、浜松市では、職員減少による維持管理の技能承継等に課題を抱えていた。また、同事業は、今後老朽化に伴う施設の適切な維持更新が必要であり、人口減少に伴い、使用料収入も減少すると見込まれていたことから、官民連携を利用した事業の効率化が検討された。
長期契約による効率的な管理と、民間の創意工夫を活かした運営が期待できるとして、コンセッション方式の導入が検討され、最終的に、浄化センターとポンプ場について、運営権を設定する部分型コンセッションの導入が決定されている。
業務範囲には、施設の維持管理と改築に加え、新たな処理工程の導入や、太陽光発電等の独立採算事業も認められている。
また、改築を行う際は、民間による対象設備のリストアップに基づき、市が改築計画を作成することや、改築費用は市による企業債や、国費を主要財源としつつ、民間も負担を負うことで、事業費抑制のインセンティブが働く仕組みとなっている。
今後は、移管後2年間は業務委託にて対応し、2018年より、同制度による運営を開始する方針である。
我が国のゲ水道施設は、老朽化により大量更新の時期を迎えており、浜松市同様の課題を抱える地方公共団体も多い。
一方で、ゲ水道事業は採算性が厳しく、管理やリスク分担が難しいとされており、コンセッション方式を柔軟に活用することで、民間の創意工夫を取込み、地方公共団体の財政負担の縮減を図っていくことが望まれる。
 
愛知県道路公社。
地方道路公社が実施する、有料道路事業へのコンセッション方式の導入に向けて、2015年通常国会において、民間事業者による、公社管理有料道路の運営を可能とする、構造改革特別区域法の一部改正法が成立・施行された。
2015年8月に愛知県が国家戦略特別区域に指定され、9月に国家戦略特別区域計画、が認定された。その後、愛知県道路公社において、同年10月に実施方針、11月に募集要項が公表された。愛知県有料道路運営等事業の範囲は、運営権設定8路線の維持管理・運営業務のほか、改築業務や既存パーキングエリアにおける売店の営業等、の附帯事業等からなる。現在、事業者の選定手続き等を実施している。
 
(地域づくりにおける官民連携)。
地方では、財政制約への対応と地域経済活性化の手段として、積極的にPPPが導入されている。
また、その形態は様々で、地域特性と事業の目的に合った手法が導入されており、その過程では、民間事業者や住民とのコミュニケーションが重要になっている。
以下では各地の取組みについて紹介を行う。
 
カンナミチョウ地域活性化・交流・防災拠点整備事業(BTO方式、混合型)。
静岡県のカンナミチョウは、観光資源の豊富な伊豆半島の北部に位置し、2013年度には東駿河湾環状道路がカンナミ塚本インターチェンジまで延伸したことで、東名高速道路、及び、新東名高速道路からの交通利便性が向上していた。
カンナミチョウでは、同環状道路の整備に合わせ、伊豆半島の玄関口となり、伊豆全体の「観光拠点」となることを想定するとともに、静岡県東部・伊豆半島全体の情報発信拠点を整備し、賑わいのあるまちづくりを推進していた。
また、同町周辺はマグニチュード8クラスの東海地震や、南海トラフ巨大地震の発生が想定されており、同町を通る国道136号は緊急輸送道路に位置づけられている。
このような背景を踏まえ、「交通安全機能」、「観光振興・地域活性化機能」、「防災機能」を兼ね備えた施設の整備・運営を、官民協働で行うことが検討された。
2012年度には、事業化に向け、国の先導的官民連携支援事業を利用した事業の委託調査が実施され、災害内容に応じた官民のリスク分担や、地域活性化につながるように、官民の役割を最適化する事業スキーム、について検討が進められた。
また、町長を座長としたカンナミ「道の駅・川の駅」整備推進協議会、小委員会による検討も進められ、同事業のPFI方式での実施が決定された。
2014年8月に実施方針が公表され、事業方式はBTO方式が採用された。
事業期間は2015年11月から2032年4月までの16年5ヶ月で、施設整備期間が約1年5ヶ月、維持管理・運営・運営期間を15年としている。
カンナミチョウは、施設の整備費や維持管理・運営費を事業者側へ支払うが、物産販売所や飲食施設等の運営事業は、民間の創意工夫が働くよう、事業者が直接利用者より収入を受け取る独立採算型を採用している。
これにより、行政による適切な運営管理が行われるとともに、民間による地場産品や観光資源等を利用した、地域の賑わい創出や観光産業の活性化が期待される。
募集に当たっては、民間事業者の応募意欲を高めるため、実施方針公表前に民間のアイディアを募集しており、実際の審査では民間事業者へのヒアリングを重視するとともに、事業提案の配点を高くした。
また、業務が多岐に渡ることから、構成する企業体(SPC)の出資について設計・建設期間及び、維持管理・運営期間の各段階において、最もふさわしい企業が代表企業となれるよう、出資者カンの株式の譲渡を可能としている。
このような取組みにより、2つの企業体より応募があり、2015年7月に事業者が選定された。
選定された事業者(SPC)は、地元企業とPPP、PFIのノウハウを有する都市圏の企業から構成されており、効率的な運営が可能になるとともに、地元企業のノウハウの蓄積や、地域の活性化が期待される。
本件は、事業の計画段階から、官民の対話が行われることで、民間事業者及び、地域住民の関心が高まり、地域が一体となった交流拠点の形成と、地域の活性化が期待される取組みと言え、現在、事業化に向けた整備が進められている。
 
宮崎県西口拠点整備事業(公的不動産の有効活用)。
宮崎県と宮崎市は、未整備となっていた宮崎駅前の県と市の公有地を活用し、商業施設と住民サービス施設、中心市街地の結節点となる交通センター等を整備し、中心市街地の活性化を検討していた。
商業施設等の整備・運営には、官民連携の手法が導入され、地元企業十数社が出資する、宮崎グリーンスフィア特定目的会社(TMK)が実施主体となった。
事業期間は、2010年3月から2030年2月までの20年間とされ、整備・運営を行う施設には、バスターミナルや広場等の公共施設と、ホテル、商業施設、オフィス等の入る複合施設や立体駐車場等の民間施設があり、官民が分担して整備・運営を行っている。
また、TMKが整備・運営を行う施設については、底地となる市と県の所有地に事業用定期借地権を設定し、施設の所有権はTMKに設定されている。
こうした民間の資金やノウハウの取り込みにより、周辺住民や施設へ配慮したゆとりある空間の整備や、オフィス施設では、効果的なテナントの誘致が計画され、新たな雇用や商業の場の創出が行われている。
この整備を含めた宮崎市による中心市街地活性化の取組みにより、2011年9月に本施設が開業した後の宮崎市の商業環境や、魅力に対する市民の満足度も総じて改善している。
また、本件では、県・市は民間より定期借地権に基づく地代収入も得られており、未利用となっていた公的不動産を効果的に整備することで、公的主体の財政負担が軽減されるとともに、民間需要の創出と地域の活性化につながっている。
 
福島県、国道4号及び、県道の維持管理事業(包括的民間委託)。
福島県は、インフラの維持管理に関して、今後老朽化等による費用の増大や、人口減少等に伴うニーズの多様化に応じるため、維持管理業務の生産性向上が必要と考えていた。
また、2016年4月に、国道4号が国から県へ移管されることに伴い、職員が不足することへの対応や、業務の効率化を図るため、包括的民間委託の導入等、官民連携を拡大した手法の導入を検討していた。
事業スキームの構築に当たって、維持管理を行う民間が、適切な利益を享受することや、業務の内容自体を高度化し、魅力ある事業とすることが検討されるとともに、官側の職員作業の軽減、維持管理コストの低減等、官民各々にメリットがある仕組みを構築・導入することが基本方針とされた。
これにより、業務の包括的な民間への委託が検討され、初年度となる2016年度は、契約期間を1 年とし、国道4号と交差する県道の一部について、道路維持やパトロール、除雪等、道路系の業務を包括して発注することが決定された。
今後は、業務プロセスやコスト等のモニタリングを行い、次年度以降の委託内容について検討が進められる。
また、2015年11月に実施した、民間事業者との意見交換では、民間側よりエリアの拡大や事業規模の拡大、契約期間の複数年化等の意見が出ており、福島県は、将来的に委託する業務について、河川等の道路以外の分野への拡大や、エリアの拡大、複数年契約の導入等を検討している。
その他、地域に精通した企業の参画が必要といった意見や、さらに、それらの企業を統括する監理監督者の設置、が望ましいといった意見等もあり、福島県は、これらの意見に対して、2016年度に包括的民間委託の試行を実施しながら、その導入の可能性と、その効果について検討を進めていく。
現状、我が国では維持管理における包括的民間委託の事例が少なく、業務のノウハウ、地方公共団体間の情報共有が不足していることから、国土交通省では福島県・三条市・宇部市等の維持管理における、包括的民間委託の実施を目指す地方公共団体と協力して、各種課題の共有や、改善策の具体的な検討を行っている。
以上のように、効果的な官民連携を進めていくためには、官民の対話と、双方がwin-winとなるようなスキームづくりが重要である。
それにより、民間需要が喚起され、官民それぞれが強みを活かした、インフラの整備・運営が可能になると言える。
 
PPP、PFI事業推進に向けた、国土交通行政の取組み。
(1)地域プラットフォームの形成。
政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2015」において、全国的なPPP、PFIの推進のため、産学官金が連携した、地域プラットフォームによるPPP、PFI手法の開発・普及等を図ることとしている。
国土交通省では、地方の官民のPPP、PFIに関するノウハウ・情報の共有・横展開を促進するため、産学官金の協議の場として、全国をカバーする形で地域プラットフォームを設立することとし、2015年度は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州でコアメンバー会議を設置し(産業界から32団体、官公庁から153団体、学術界から20名、金融機関から61行、が参加)、全国6箇所(仙台市、広島市、東京都、福岡市、大阪市、名古屋市)で優良事例を紹介するセミナーを実施した(参加者約1,100名)。
また、地方公共団体を単位とするプラットフォームについて、地域ごとの課題解決のため、官民連携事業の具体的な案件の発掘・形成や推進を図る方針であり、地方ブロックプラットフォームを通じるなど、各地方公共団体の要望に基づき設置・支援することとしている。
 
(2)先導的官民連携支援事業。
PPP、PFIの導入に当たっては、事業方式、官民の役割分担等に関する、多様な調査や情報の整備が必要になることから、国土交通省では、先導的なPPP、PFI手法の活用を検討する地方公共団体に対し、導入可能性の調査に係る費用を助成し、案件組成の支援を行っている。
支援内容は、施設の種類や事業規模、事業類型、事業方式等の面で先導的な官民連携事業の導入や実施、に向けた検討のための調査費用を支援する「事業手法検討支援型」と、官民連携事業の導入判断に必要な情報、の整備等のための調査費用を支援する「情報整備支援型」に分けられる。
コンセッション方式を導入した仙台空港や、同方式の検討を進めている浜松市の西遠流域ゲ水道事業の調査にも利用されており、今後も同支援事業により、地域のPPP、PFI手法の普及を進めていく方針である。
 
(9)インバウンド観光への期待。
日本を訪れる外国人観光客は年々増加しており、経済面での期待も大きくなっている。
そこで、インバウンド観光に対して企業活動で重視することを調査した。
最も積極的な意識が確認できた業種は、飲食・宿泊業であった。
いわゆる「爆買い」に対する期待として、卸売・小売業からの期待も予想されたが、全業種合計と大差ない結果であった。
そこで、インフラへ求めることを分析すると、「広域観光ルートの構築」、「交通施設の機能強化(乗り換え利便性の向上等)」、「外国人向けの情報提供の充実」を求める意識が確認された。
輸送能力の強化や、移動コストの削減等より優位な結果となっており、キャパシティーの増強よりも、まだまだ各地方まで外国人観光客を十分に呼び込めていないという意識の表れかもしれない。
 
第3章。新たな市場の開拓・拡大、担い手の確保、新技術導入等。
インフラシステム海外展開。
(1)世界のインフラ需要と国際競争。
(旺盛な世界のインフラ需要)。
経済協力開発機構(OECD)によると、2030年における世界のインフラ需要は年間2兆3,260億ドルに上るとされている。
このうち、鉄道、空港及び、港湾の整備需要を見てみると、2015年から2030年の年平均(4,300億ドル)は2009年から2015年の年平均(2,330億ドル)から、約1.8倍の伸びが見込まれている。
また、アジアのインフラ需要に注目すると、2010~2020年の11年間で、約8.2兆ドル(年平均で約7,500億ドル)が必要と推計されている。
このようなデータより、世界のインフラ需要は膨大であり、拡大傾向にあることがうかがえる。
 
(インフラ投資資金の不足)。
一方で、旺盛な需要に対する資金供給の差(いわゆるインフラ・ギャップ)が、国際的な課題として認識されている。
新興・途上国では年間4,520億ドルのインフラ・ギャップがあると推計される。
資金不足を埋めるにしても、各国の自国資金のみでは厳しい財政事情から困難であり、民間資金の活用が必要と考えられている。
 
(インフラシステム海外展開の意義)。
以上が世界のインフラ需要の動向であるが、我が国のインフラシステムを海外に展開することには、①、売り手(我が国)と、②、買い手(相手国)それぞれにメリットがある。
①、我が国の経済成長の実現インフラシステム海外展開は、第1章で見たように、GDP、及び、GNIを押し上げ、我が国の経済成長に貢献する。
整備したインフラが、現地でストック効果を発揮することで、日本企業の海外進出の側面支援につながることも考えられる。
また、IoTなどの新技術を活用した市場の開拓を含め、海外の旺盛なインフラ需要を積極的に取り込むことにより、我が国企業体質の強化、価格競争力・生産性の強化につながる効果も期待される。
さらに、産業別の生産波及効果の大きさを見てみると、鉄鋼(2.79)に次いで輸送機械(2.77)が2番目に大きい。
また、製造業以外では建設(1.95)も大きい。
これらの数値は、国内における需要の増加に対応するものではあるが、インフラ海外展開を通じ、こうした産業のパイが拡大することによって、国内の他産業にも多くの波及効果をもたらすことが示唆される。
②、相手国・国際社会への貢献、①、は売り手、つまり日本にとっての意義であった。
しかし、それだけではなく、整備したインフラがストック効果を発揮することで、相手国の人々の暮らしが豊かになることも非常に重要である。
インフラは本来現地のものであり、相手国の風土、文化等を含めたニーズを踏まえ、最適なインフラシステムを提案していくことが求められる。
我が国と相手国の成長という「win-win」の関係にとどまらず、質の高いインフラの海外展開を通じて、都市問題、環境、防災等の地球規模の課題解決に貢献することが、我が国の地位向上に資すると考えられる。
 
(海外インフラプロジェクトのリスク)。
以上のような意義がある一方で、海外におけるインフラプロジェクトには、特有のリスクが伴う。
国内同様、インフラ事業は巨額の投資を要し、その投資回収に大変長い期間がかかるというリスクがある。
他に大きくは政治リスク、商業リスク及び自然災害リスクがある。
例えば、インフラの場合、相手国政府が大きく関与している場合が多く、新興国においては、政府による契約違反や途中でのルール変更といった事案が多く発生する(義務違反リスク・制度(変更)リスク)。
また、計画どおりに利用者が増えるかどうかという需要リスクもある。
 
(インフラ市場を巡る熾烈な国際競争)。
旺盛な世界のインフラ需要を巡る国際競争は熾烈を極めている。
例えば、世界の鉄道車両メーカー売上高を見てみると、中国が旺盛な国内需要、高いコスト競争力、外交政策等を背景に、従前より力をもっている欧州企業(ビッグ3)を圧倒している状況である。
 
(2)「質の高いインフラ」の海外展開。
我が国のインフラの最大の強みは「質の高さ」である。
日本では昔から「安物買いの銭失い」という言葉で表されてきたように、少々値段が高くとも、使いやすく、長持ちし、品質の良いものを選ぶべきという考え方がある。
我が国は、2015年5月に安倍総理大臣から「質の高いインフラパートナーシップ」を発表するとともに、同年11月には、質の高いインフラ投資のための円借款手続の迅速化、等の制度拡充を発表するなど、政府を挙げて質の高いインフラ投資を推進しているところである。
インフラ海外展開における我が国の「質の高さ」としては、インフラが使いやすく長寿命でライフサイクルコストが低廉であること、納期を遵守すること、環境・防災面へ配慮していること等がある。
また、ハード面の高い技術力はもちろんのこと、制度構築、人材育成支援等のソフト面の取組みを併せて行うこと等も貢献している。
さらに、相手国に対する円借款供与等の、支援プロセスのスピードアップにあたっては、上記の「質の高いインフラパートナーシップ」に係る制度拡充を活用し、競争力強化を図ることとしている。
こうした我が国の強みを活かした「質の高いインフラ投資」を推進することには、我が国企業が海外で、新たなインフラシステム受注を獲得することで、日本経済の活性化につながるのみならず、相手国にとって使いやすく、長く使われるインフラの整備につながるという意義もあり、我が国として今後も取組みを一層進めていくことが重要である。
 
(ハードの高い技術力とソフト面の強み:新幹線~日本の誇る高速鉄道システム)。
日本の高速鉄道システム「新幹線」は、1964年に東海道新幹線が開業して以来、多くの優れた実績を残しており、我が国が誇るべき「質の高いインフラ」のひとつと言える。
新幹線の主な優位性としては、以下のようなものがあげられる。
①、安全性:乗客の死亡事故は51年間ゼロ、地震検知システムも導入。
②、信頼性:東海道新幹線の最高運行頻度は15本/時間と高頻度運行にも関わらず、平均遅延時間は1分未満。
③、効率性:大きく軽量な車両を採用、一方でトンネル等土木構造物は小さく、建設費は安価。
また、こうした新幹線の優位性には、車両や信号といったハードの技術力はもちろんのこと、オペレーションやメンテナンス等、ソフト面での優れたノウハウも大きく貢献している。
この他、新幹線の車内清掃が近年注目されている。
東京駅での新幹線の折り返し時間は12分程度で、乗降車の時間を除くと、折り返しの準備作業時間はわずか7分しかない。
その間にスタッフは原則1人で100席以上ある、1両の座席回転、窓・テーブル・通路等の清掃、座席カバーの交換、忘れ物のチェック等をこなす。
それだけでなく、列車が到着する前にはホーム際に一列に整列し、到着する列車へ一礼、さらに乗降客への一礼も欠かさない。
こうした作業の正確さ・素早さ、そして礼儀正しさは、米CNNで「奇跡の7分間」として報道され、絶賛された。
日本の新幹線方式は、台湾を縦断する高速鉄道として海外で初めて採用され、2007年の開業以降、こうした高い安全性や信頼性を維持している。
国家的プロジェクトである、高速鉄道における新幹線の導入は、我が国のインフラに対する信頼の表れといえよう。
台湾高速鉄道の受注においては、1999年の台湾大地震等を踏まえ、我が国鉄道システムの安全性・強靱性がポイントとなった。
また、開業に当たり、台湾人スタッフに対する技術指導も行い、ソフト面でのフォローも行った。
こうした我が国に対する信頼の積み重ねにより、2015年12月には、我が国とインドとの間で、ムンバイ・アーメダバード間に高速鉄道に新幹線システムを導入することで合意に至った。
さらに、高速鉄道のみならず、都市鉄道や橋梁など様々な分野において、我が国企業が信頼を得て受注に成功している。
 
(インフラシステム輸出戦略、政府の戦略)。
政府は、2013年5月に「インフラシステム輸出戦略」を決定し、2010年時点で、約10兆円のインフラシステムの受注を、2020年に約30兆円に拡大することを目標と掲げており、2014年時点では、受注額は約19兆円まで増加している。
 
(国土交通省インフラシステム海外展開行動計画)。
インフラ海外展開における国土交通省の大きな役割に鑑み、「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画」を2016年3月に策定した。
本行動計画は、政府全体の戦略である「インフラシステム輸出戦略」に基づき、国土交通分野の計画を詳述するとともに、国土交通省が今後インフラ海外展開を更に強化していく際に重要となる以下の点を明確化したものである。
 
【要点1】地域・国別の取組み方針策定。
各地域・各国ごとに国土交通省関係の焦点となるインフラ海外展開プロジェクトを整理し、これに基づき、より効果的なトップセールスも含めた戦略的な働きかけを実施する。
アセアン経済共同体(AEC)の発足や、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の合意によって、今後の更なる経済成長が見込まれるアセアン地域に関しては、「絶対に失えない、負けられない市場」、まさしく主戦場として、徹底的かつ最大限の努力を行うこととするなど、地域・国別の取組方針を記載し、特に各国において新たな受注を獲得する観点から、今後3年から~4年の間に、注視すべき主要プロジェクトを明記している。
 
【要点2】ソフト面の取組み強化。
我が国はライフサイクルコストが低廉で、使い易く、長寿命であるといったハード面のみならず、ソフト面での支援を併せて行うことが強みであることから、ハード面の整備に併せ、国際標準の獲得や、相手国の制度構築支援、及び、その運営等に関わる人材育成支援等、ソフト面の取組みをパッケージで推し進める。
 
【要点3】PPP事業への参入促進。
世界の膨大なインフラ需要を、公共投資だけで賄うのは困難であり、民間資金の活用事例が多く見られるようになってきており、大きな事業機会となっている。
このため、国土交通省では官民ファンドである、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(ジョイン)を2014年10月に設立したところであり、今後ジョインを最大限活用し、民間企業の海外展開を積極的に支援していく。
 
【要点4】建設産業の海外展開推進。
我が国建設企業の海外受注実績は、2014年度に過去最高となる、1兆8,153億円を記録するなど、我が国のインフラ海外展開に当たっての、キーインダストリーの1つであり、今後も建設産業の果たす役割が大きいことを踏まえ、ビジネス環境整備や、トラブル対応等の取組みを進めていく。
 
【要点5】国土交通省関連の中小企業等と、その技術の海外展開支援強化。
中小企業等の海外展開に向けた、意欲喚起を図るとともに、海外進出のきっかけを作る等により、その潜在的需要を引き出すなど、積極的に支援していくことが重要であり、中小企業等の技術についても、大規模インフラ案件のトップセールスを行う機会に併せて、ビジネスマッチングを行う等の取組みを進める。
 
【要点6】価格や対応スピードにおける競争力向上。
相手国の目線に立つことを徹底するとともに、「質の高いインフラパートナーシップ」の展開における制度拡充策を最大限活用し、価格面、スピード面での競争力を強化する取組みを進める。
 
【要点7】「質の高いインフラ」を効果的にアピールするためのプロモーション活動強化。
インフラ海外展開に当たっては、我が国の強みである「質の高いインフラ」を相手国の政府首脳、高官、国民に対して積極的にアピールしていくことが不可欠であり、効果的かつ戦略的な広報等を進めていく。
 
【要点8】情報通信技術等の新技術を活用した、新たな海外展開に向けた取組み。
IoT、AI、センサー等の情報通信技術の進展や、ビッグデータの活用等の新たな技術の展開の取り込み、新交通システムや先進的なまちづくりなど、我が国が独自性、優位性を有するインフラシステムの積極的な打ち出しが重要である。
 
【要点9】我が国企業がグローバル企業として、更に進化していくための取組み。
膨大な海外のインフラ需要を更に取り込むため、我が国企業がグローバル化に対応した企業体質や、事業推進体制を強化していくこと、より強力な海外戦略を明確化していくこと、等が重要であり、国土交通省は「行動計画」を実行に移すとともに、より多くの民間企業が海外展開に乗り出しやすくなるような環境整備等に取り組んでいく。
 
( 1 )訪日外国人旅行者の傾向分析。
(国別の訪日動向及び消費状況)。
国連世界観光機関(UNWTO)によると、2015年の国際観光客到着者数は、前年比4.4%増(約5,000 万人増)の約11億8,400万人を記録し、2010年以降、急速に増加を続けている。
我が国の経済は、人口減少による国内市場の縮小が予想されており、こうした海外からのインバウンド需要を取り込み、観光を「地方創生」への切り札、GDP、600兆円達成への成長戦略の柱としていくことが重要である。
我が国の2015年訪日外国人旅行者数は1,974万人(前年比47%増)、訪日外国人旅行消費額は、3兆4,771億円(前年比71%増)と過去最高を記録した。
特にアジアからのインバウンド需要が増加しており、2015年には訪日旅行者数、消費額ともに全体の約8割を占めている。
 
(出入国の状況)。
訪日外国人旅行者の受け入れ窓口である、空港や港湾等の利用状況について、主要国の入国空港別の割合を見てみると、韓国を除き、どの国籍でも成田空港からの入国が最も多く、英国・米国・豪州は羽田空港、成田空港といった首都圏空港の利用が圧倒的に多い。
一方で、アジア地域にある、中国、台湾、韓国、タイでは、関西国際空港の利用も多い。
また、韓国や台湾は地方空港への定期便等の就航に伴って、入国空港が多様化しており、特に韓国は港湾からの入国も多く、入国方法が多様である。
タイでは、新千歳空港の利用割合が他の国に比べて高いなど、距離的に近いアジアの国々では入国する地域が多様化している。
 
(アジア圏の訪日旅行者の旅行形態)。
次に、今後も増加が予想される、アジア圏の訪日外国人旅行者の、旅行目的・訪問場所の特徴について、訪日旅行者数の多いアジア上位8か国を中心に見ていくと、2015年の訪日外国人消費動向調査より、各国の旅行者の訪日回数を見てみると、1回目の割合が高い国が多く、訪日客数が最も多い中国は、7割超と最も高い。
一方、香港は4回目以上の割合が約5割となっており、複数回訪れるリピーターが多い。
旅行手配方法では、「団体ツアー参加」の割合が、中国56.2%と最も高く、台湾が44.7%と続いている。
その他の国では、個人手配による旅行者の割合が最も高くなっている。
また、訪日回数との関係で見ると、中国人旅行者の訪問回数が1回目の割合が高いことも、パッケージツアーの割合が高いことに関係しているものと考えられる。
2015年7月に日本政策投資銀行が、日本交通公社とともに行った「アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査」では、海外旅行全般に対する考えとして、自由に旅行先を周遊したいとの意見が多くなっており、今後個人旅行の増加が予想される。
また、日本旅行経験者は地方観光地への訪問意欲も高く、特に一度地方観光地へ訪問することで地域の魅力に触れ、更に訪問意欲が高まる傾向が見られる。
地方観光地でしたいこととしては、その土地の食べ物を食べることや、温泉や自然体験等となっており、その地域ならではの体験を求めている。
以上のように、外国人旅行者の行動やニーズの多様化に対応し、受入れ体制の整備や、その土地ならではの魅力ある観光地づくりを行うことで、地方の経済活性化につなげていくことが重要である。
 
インフラ整備、メンテナンスの担い手の確保。
(1)建設業における労働力の状況。
(建設業界の現状)。
我が国全体の生産年齢人口の減少が見込まれる中、今後もインフラの品質確保と、適切な機能維持を図るためには、その担い手を円滑に確保することが重要である。
しかし、建設投資は1992年をピークに、就業者数は1997年をピークに、2010年までは減少傾向にあった。
 
(若手入職者の減少、高齢化)。
地域の建設企業は、低価格入札による赤字受注等により、経営環境が悪化し、技能労働者の賃金の低下、若手入職者の減少等の問題に直面している。
建設業の就業者の年齢構成についても、55歳以上が約3割を占める一方、29歳以下の若手が約1 割となるなど、全産業に比べ、高齢化と若手の比率の低下が著しく進行している。
 
(官民挙げての取組み)。
建設産業の担い手をめぐる現状や、将来の見通しを含む重要課題に関する認識を共有し、短期及び、中長期といった時間軸に分けた上で、講ずべき施策の検討に着手することが必要であることから、2014年1月に国土交通副大臣を座長とする「建設産業活性化会議」を開催した。
本会議では、官民一体となって講じる、総合的な人材確保・育成策として、同年8月には直轄工事で元請、一定の一次下請、を社会保険加入業者に限定する措置の実施や官民挙げた「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」の策定、同年10月には「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」(事務局は建設業振興基金)の発足等、各種の取組みを講じている。
これらの動きと連携して、建設業団体においても、全国建設業協会による「将来の地域建設産業の担い手確保・育成のための行動指針」の策定(2015年2月)や、日本建設業連合会の「再生と進化に向けて、建設業の長期ビジョン」の策定(同年3月)など、団体の特徴を活かした取組みが進められ、着実な実践がなされている。
このような官民挙げた取組みにより、公共投資の安定とも相まって、近年の技能労働者数は堅調に推移している。
しかしながら、今後、建設業では高齢化等により、技能労働者が大量に離職することが見込まれており、将来にわたってインフラの品質確保と、適切な機能維持を図るためには、建設業の将来を担う若者の入職・定着を促し、人材を確保することが最重要課題である。
こうした観点から、2015年5月の第10回建設産業活性化会議では、処遇改善を中心として担い手確保・育成対策の更なる強化を図るとともに、建設生産システムにおける、生産性の向上に官民一体で取り組むことで、将来の担い手確保に強い決意で臨むことを官民で合意した。
 
(2)処遇改善の徹底。
建設業の就業者の減少の要因の一つとして、賃金の低下(収入の低さ)が考えられる。
建設業の売上高経常利益率の推移を見ると、1990年代前半は全産業平均よりも収益力が高かったが、バブル崩壊後は低下傾向が続き、2000年代以降は1%台の低水準で推移している。
2011年度より、復興需要等でやや回復傾向に向かっているが、依然として全産業や製造業の利益率を下回る状態が続いている。
また、技能労働者の賃金について、建設業の男性生産労働者の年間賃金総支給額、の推移を見ると、1990年代前半までは大幅上昇を続け、製造業の男性生産労働者との格差はかなり縮小したが、その後は建設業の賃金低下により、格差は再び拡大した。
さらに、社会保険等福利厚生面での環境の未整備等、処遇面で他産業と比べ立ち遅れがみられることが、熟練した技能を有する技能者の離職や、若者が建設産業で就労・定着しにくい主な要因となっている。
担い手確保を図るためにも、まずは処遇改善の徹底を図ることが重要である。
そのため、国土交通省では以下のような取組みを進めている。
 
(適切な賃金支払の浸透と社会保険加入の促進)。
現場の労働者に適切な賃金水準が確保されるよう、2016年2月には公共工事設計労務単価について、実勢を踏まえる形で4度目となる引き上げを行った。
この設計労務単価の引き上げが、現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう取り組んでいく。
社会保険等未加入対策に関しては、2017年度をメドに、企業単位で許可業者の加入率100%を目指すこと等を目標として、各種対策を進めてきたところであり、2011年から、2015年の4年で労働者単位の保険加入率が15%上昇するなど、確実に成果が現れてきている。
また、更なる取組強化を図るため、未加入対策を周知するための説明会(キャラバン)の全国10箇所での開催や、社会保険加入指導の前倒しを実施した。
加えて、2015年8月には、建設技能労働者の技能や、経験に関する情報を、統一のルールで蓄積し、技能や経験に応じた適切な評価や、処遇の改善、工事の品質向上や、現場の効率化を実現する、建設キャリアアップシステムの構築をめざし、官民コンソーシアムを立ち上げた。
2016年4月には、第2回キャリアアップシステムの構築に向けた官民コンソーシアムを開催し、基本計画書を取りまとめた。
 
(ダンピング対策の強化、ブギリの根絶)。
2015年4月より、本格運用が開始された改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)、改正建設業法及び、改正公共工事入札契約適正化法(改正入契法)等に基づき、ダンピング対策の強化や、ブギリの根絶に向けた取組みを進めている。
特に、ブギリの根絶については、総務省とも連携しつつ、これまで4度にわたり、地方公共団体に対して、その実態やブギリを行う理由等に関する調査を行い、ブギリを行っている地方公共団体に対しては、あらゆる機会を通じて早期に見直すよう求めてきた。
その結果、2015年1月時点で、慣例やジチタイ財政の健全化等のため、ブギリを行っていたすべての地方公共団体(459団体)が、2016年4月時点で、ブギリを廃止することを決定した。
 
(建設業における休日の拡大(週休2日の実現))。
若年者が建設業に入職・定職しない要因の一つとして、「休日の少なさ」が挙げられる。
日本建設産業職員労働組合協議会の時短アンケートによると、建設工事の作業所では、約6割が4週4休以下で工程を組んでいる。
工事の性格、地域の実情、自然条件、建設労働者の休日等による、不稼働日等を踏まえ、適切な工期を設定したうえで、週休2日を確保できるよう、現場の労働条件の改善を図ること、が必要である。
国土交通省は2014年度より、「週休2日モデル工事」を実施しており、2015年度は56件の工事において、週休2日を確保できるよう、官民連携して取り組んでいる。
担い手確保・育成をうたった改正品確法の運用指針に明記された、週休2日の確保に向け、モデル工事を通じて課題を把握し、解決策を検討している。
 
(3)安定的・持続的な建設事業の見通しの確保。
過去の公共投資の急激な増減は、建設業における不適格業者の参入、ダンピングの多発、人材の離職等、様々な弊害をもたらしてきた。
また、公共投資の大幅な減少に伴い、建設企業の経営を取り巻く環境が悪化し、若手入職者の減少や高齢化の進行等の構造的な問題が生じている。
近年では、公共投資額の回復とともに賃金水準も回復し、技能労働者の数も堅調に推移しているが、将来にわたってインフラ整備を支える担い手を確保するためには、公共事業予算の持続的・安定的な確保、等の建設業者が将来を見通すことができる環境整備に取り組む必要がある。
 
(4)若者や女性の更なる活躍等。
(若者の早期活躍の促進、教育訓練の充実化)。
就業者の高齢化が進む中、若者に早い段階で、建設業を具体的な目標として入職してもらう、とともに、その後も定着し続ける環境づくりを図ることが喫緊の課題である。具体的には、技術検定の受検要件の大幅拡大、説明会(キャラバン)の実施対象を、工業高校から小中学校、普通高校へ拡大、地域連携ネットワークによる教育訓練体系の構築に対する支援、の継続及び、教育訓練に必要なプログラム・
教材等の整備に取り組んでいる。
また、子どもを対象に行ったアンケート調査(実施:(株)クラレ)によると、「新小学1年生が将来就きたい職業」で、「大工・職人」と答えた男の子の割合が安定して上位10位以内を推移している。
このように、これから小学校に入学する男の子にとっては、建設業は魅力ある産業として捉えられており、その魅力を発信し、継続して関心を持ってもらうことも、若年入職者の増加につながると考えられる。
このため、技能労働者が学生にものづくりの楽しさや喜びを伝える出前講座、工事現場の見学会、現場実習等を通じて、引き続き若者の入職動機の形成、入職促進を図っていくことが必要である。
 
(建設業における女性の更なる活躍に向けて)。
国土交通省は、女性技術者及び技能者を「5 年で倍増」の目標を掲げ、2014年8月に官民共同で策定した「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を契機に、地域ぐるみで女性活躍を推進する取組みの支援や、女性技術者の登用を促すモデル工事・建設現場の質の良いトイレ等を設置する試行工事の着実な実施、「建設現場における仮設トイレ事例集」の作成、女性の活躍を総合的に応援するポータルサイト「建設産業で働く女性がカッコイイ」の開設等、具体的な取組みを進めており、女性活躍の機運が高まっている。
今後は更なる女性の活躍・定着を目差し、具体的に現場を変えていくステージにある。
2015年度は新たにこの取組みの一環として、女性活躍を応援する先進的な事例を収集し、テーマ別に取りまとめを行った「建設業、女性の活躍応援ケースブック」の作成や、女性活躍に関する取組みの実態・意見等についての初のアンケート調査を実施した。
 
(5)メンテナンス産業の創出。
第1 章でも述べたように、我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されている。
社会インフラの維持管理・更新については、国のみならず、社会インフラの多くを管理している地方公共団体を含めた、我が国全体の大きな問題となっている。
今後20年間で、建設後50 年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みであり注71、一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められている。
このため、インフラ長寿命化計画等に則り、計画的な点検・修繕や、地方公共団体に対する財政的支援、技術的支援を着実に実施するとともに、メンテナンス産業の育成・活性化につなげていくことが大切である。
2012年12月に起きた笹子トンネルの崩落事故が大きな契機となって、国内ではインフラメンテナンスに幅広い業種が関心を持って取り組んでおり、今後、国内の市場規模も拡大すると見込まれる。
国土交通省では以下の対策に積極的に取り組んでいく。
 
①「インフラメンテナンス国民会議(仮称)」の創設。
国土交通省では、メンテナンスの理念普及やメンテナンス産業の育成・活性化のため、産学官が総力を挙げて取り組むプラットフォームとして、2016年度にインフラメンテナンス国民会議(仮称)を創設することとしている。
2015年末に行ったインフラメンテナンスに関心のある企業・団体との意見交換会では、異業種との技術交流、新たなビジネスモデルの検討、表彰制度の創設等を求めるといった多様な意見交換が行われた。
これを踏まえ、国民会議が企業・団体の取組みに伴走して支援していく仕組みを構築することにより、民間の新技術の堀り起こしや、幅広い業種からの新規参入を促進したいと考えている。
 
②メンテナンス技術者を育成・確保するための民間資格の登録制度の活用。
既存の民間資格を評価し、メンテナンスに必要な技術水準を満たす資格を登録する制度を活用することにより、民間技術者の育成・活用を促進するとともに、点検・診断等の業務の質を確保する。
2015年度早期発注の点検・診断業務においては、約7割で登録技術者を配置している。
 
③グッドプラクティスの普及・啓発を図る。
国土交通省では、インフラメンテナンスの理念の普及・啓発を図るため、2015年12月から約1ヶ月間、インフラの維持管理・更新を支えるさまざまな工夫や活動等の優れた実践事例(グッドプラクティス)を募集し、インフラメンテナンスグッドプラクティスのパネル展を開催した。
これらの情報は情報ポータルサイトで公開している。
情報ポータルサイトでは、道路、河川、港湾等の各分野におけるインフラの点検状況等が確認できるほか、インフラの戦略的維持管理・更新に関する施策や取組み等について確認できる。
 
④民間企業の技術・ノウハウ活用のための包括的民間委託の導入の検討。
民間企業の技術・ノウハウやスケールメリットを活かして効率的な維持管理を図るため、地域建設企業の活用も図りながら複数の分野や施設の維持管理業務を複数年にわたり包括的に民間に委託する手法について、地方公共団体と協力して具体的な検討を進めている。
この取組み等を通じて、維持管理・更新に係る複数年契約や包括的民間委託の活用を推進していく。
国土交通省が2016年2月に一般国民を対象に行ったモニターアンケートにおいて、インフラの新規整備と維持管理・更新のバランスについての意識を尋ねたところ、約45%の人が維持管理・更新を優先すべきと回答しており、一般国民の認識を踏まえても、今後のメンテナンス産業の可能性を示唆しているといえる。
 
現場の生産性向上。
(1)「アイコンストラクション」。
建設業の就業者は減少を続けており、今後、現場の労働力が減少傾向であることを考えれば、建設現場の生産性向上は、避けることのできない課題である。
一方で、激甚化する災害に対する防災・減災対策や老朽化するインフラの戦略的な維持管理・更新、そして、強い経済を実現するためのストック効果を重視したインフラの整備や生産性の向上等、建設産業には、安全と成長を支える重要な役割が期待されている。
建設業界の業績が回復し、安定的な経営環境が確保されつつある中で、生産性の向上に本格的に取り組むべき絶好の機会が到来したと言える。
今こそ、我が国の建設現場が世界の最先端となるよう産学官が連携して、アイコンストラクションに取り組むべき時である。国土交通省は、「アイコンストラクション」の実現に向けて、有識者で構成する「アイコンストラクション委員会」(委員長:小宮山宏・三菱総合研究所理事長)を組織し、2016年4月に報告書をまとめた。
アイコンストラクション」の取組みとして、国土交通省は、「ICTの全面的な活用(ICT土工)」、「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」、及び「施工時期の平準化」をトップランナー施策として進めることとしている。これらの取組みを通し、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新といった建設現場のプロセス全体の生産性の向上を図っていく。
 
(ICTの全面的な活用)。
国土交通省では、従来より「情報化施工注73」と「CIM」という2本の柱を掲げて、様々な検証・試行事業に取り組んできた。
アイコンストラクション」の取組みの一つである「建設現場へのICTの全面的な活用」では、これらを含めて工事プロセスをより全体的・包括的に捉えたうえで、ドローン(無人航空機)や3 次元測量データ、無人化・自動化施工技術など、従来よりも幅広く技術の活用を進める。
建設現場へのICTの全面的な活用のイメージは、①、ドローン等による3次元測量、②、3次元測量データによる設計・施工計画、③、ICT建設機械による施工、④、検査の3次元データを用いた大幅な省力化、の実現である。
 
■15の新基準を導入。
調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、ICTを全面的に導入するため、3次元データを一貫して使用できるような新基準を導入することが必要である。
そのため、国土交通省では、15の新基準を整備し、直轄事業に2016年4月より導入した。
これらの基準については、ICT建機やロボット技術を全面導入することで、大幅な生産性向上が期待される。
 
(全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等))。
現場打ちコンクリートは、気象条件によっては、計画的な施工が困難な特徴を有している。
さらに、橋梁等の構造物では、高所作業が必要となり、危険が伴う労働環境での作業となることや、型枠の設置や鉄筋の組み立てなどが現場ごとに異なり、作業も複雑となることから、従事する技能者も一定程度のスキルが必要となる。
一方で、プレキャスト製品を活用する場合でも、同サイズの製品を大量に使用する機会は限定的であり、スケールメリットが生じにくい特徴がある。
また、受注を受けてから生産する工程にならざるを得ず、安定的な生産によるコストダウンが難しい環境にある。
そこで、コンクリート工全体の生産性向上を図るため、全体最適の導入、現場打ちコンクリート、プレキャスト製品それぞれの、特性に応じた要素技術の一般化、及び、サプライチェーンマネジメントの導入、に向けた検討を進める。また、現場打ちコンクリートについては、鉄筋の組立、コンクリートの打設等の現場作業の効率化、に関する鉄筋の継手・定着方法の改善に向けた技術、等の一般化について検討を進めていく。
 
(施工時期の平準化)。
公共工事は、年度ごとの予算に従って執行することが基本のため、4月から6月期は工事量が少なく、秋から年度末が繁忙期になるなど、工事量の偏りが大きい。
月ごとの工事量を出来高ベースで見ると、繁忙期と閑散期の工事量の差は2014年度においては約1.8倍近くに及んでいる。
限られた人材を効率的に活用するためには施工時期を平準化し、年間を通して工事量を安定化することが望ましい。
この施策は新たな投資が必要なく、発注者の仕事のやり方を変えることで対応できるため、各発注者において積極的に取り組むべき施策である。
また、平準化の進展により建設企業の経営の健全化、労働者の処遇改善、稼働率の向上による建設企業の機材保有の促進等の効果も見込まれる。
平準化は、各工事に必要な工期を確保した上で、必要に応じて早期発注や債務負担行為等の適切な活用により、施工時期や工期末の平準化を考慮した上で計画的な発注を実施していくこととする。
また、無理に年度内に工事を終わらせることを避け、必要に応じて翌債(繰越)制度等を適切に活用するなど、年度末の繁忙期の解消を推進していく。
また、平準化の取組みは、国のみならず、公共工事全体の約7割を占める地方公共団体等、すべての発注者が一体となって取り組んでいくことが重要である。
このため、地域発注者協議会(国や都道府県、すべての市町村等から構成し、都道府県ごとに設置)を通じて、国や地方公共団体等の発注機関が連携して平準化を推進していく。
また、入札契約適正化法等により、国から地方公共団体に平準化の推進を必要に応じて要請することとしている。
 
(2)ロボット新戦略の推進。
政府は「日本再興戦略」に基づき「ロボット新戦略」(2015年2月10日、日本経済再生本部決定)を策定した。
これは少子高齢化等の課題先進国として、「ロボットによる新たな産業革命」の実現を目指すものである。
担い手の不足、老朽化の進行、多発する災害等を背景に、2020年までのアクションプラン(目指す姿と重点実施分野)が示されている。
建設分野の目指すべき姿として「ロボット技術の一つでもある情報化施工技術の施工現場への大胆な導入」、「前工程・後工程を含む全体工程をシステムとしてとらえた。
生産性向上・省力化の推進」等が示されている。
目標達成に向けては、①、技術開発、②、現場導入、③、市場環境整備、を通した一貫性のある施策の推進が求められている。
我が国は、産業用ロボットの年間出荷額3,400億円、国内稼動台数約30万台を誇る、世界一のロボット大国である。
建設現場にある油圧ショベルは、世界シェアの80%以上が日本モデルであると言われており、3次元設計データによるマシンコントロール技術を搭載したICT建機は、無人化施工や情報化施工とともに日本が誇るべき建設技術である。
ロボット新戦略では、建設一般、インフラ維持管理、災害対応の3分野をロボット推進の重点分野とした。
国土交通省においても、技術革新に力を注ぐ様々な分野の有識者と力を合わせ、建設生産分野においては、前述した「アイコンストラクション」の実現を、インフラ維持管理と災害対応においては、「次世代社会インフラ用ロボットの開発・導入」を推進していく。
 
(次世代社会インフラ用ロボットの開発・導入)。
ロボットの認識力は現時点では人間と比較して、まだまだ不完全な部分もあるが、いずれは人による点検作業を代替する日が来る、と期待されている。
国土交通省では、膨大なインフラ点検を効果的・効率的に行い、また、人が近づくことが困難な災害現場の調査や応急復旧を迅速かつ的確に実施するための「次世代社会インフラ用ロボット」の開発・導入を推進している。
重点分野とした橋梁・トンネル・ダム・水中構造物等を対象に、2014年~2015年度の2箇年で、実用性に優れたロボットを公募し、試行的導入に向けた実用性を確認するための現場検証と、評価を実施した。
これらの情報は公開サイトで検証状況の動画を含め公開している。
2016年度からは、現場検証の結果を踏まえたロボットの試行的導入を段階的に進め、実際の現場業務での試行を通じて、利用手順などを整理していく予定である。
 
2016年4月14日夜以降、熊本県及び大分県を中心に発生した一連の地震(気象庁は一連の地震活動を「平成28 年(2016年)熊本地震」と命名。以下、単に「熊本地震」という。)では、14日夜のマグニチュード6.5の地震のあと、更に規模の大きなマグニチュード7.3の地震が16日未明に発生し、震度7の揺れを2回観測した。
熊本地震により、死者は49名に達し、避難者は最大で19万人を超えた。
また、家屋の損壊や土砂災害、回送中の九州新幹線の脱線、道路の通行止め等の交通インフラの被害のほか、電気、ガス等のライフライン関係の被害が多数発生するなど、甚大な被害をもたらした。
更に、自動車関連企業の工場が操業停止するなど、サプライチェーンの寸断を招き、企業活動にも多くの影響を及ぼした。
 
(2)テックフォース(緊急災害対策派遣隊)等による被災地方公共団体支援。
国土交通省では、同年4月14日夜のマグニチュード6.5の地震発生直後の4月14日深夜より、被災した地方公共団体にリエゾン(情報連絡員)を派遣するとともに、15日には九州のほか、近畿、中国、四国、各地方整備局、国土地理院のテックフォースが九州へ入り、活動を開始した。
北海道から沖縄までの全国の地方整備局等からリエゾン最大61人、のべ1,617人・日、テックフォース等、最大440人、のべ8,183人・日(同年5 月16 日時点の速報値)を17市町村に派遣し、被災地方公共団体の支援を実施している。